裸になれば“ただの男と女”

ID-100151298

気がついたら、ホテルの一室にいたーー

今まで、男性経験が無かったわけではない。それに、高村さんの誘いにためらうことなく、ホテルまで歩いてきたはず。
なのに、私の身体は震えが止まらない。

「理恵子、この部屋からも夜景が見えるよ」
「あっ、本当だ! すごくキレイ!」

何かを誤魔化すように、窓際に寄って夜景を眺めた。ホテルに来る前まで見ていた夜景とまるで違う景色に見えるのは、建物の高さの違いなのか。
それとも、ホテルで2人きりだからなのか?

どうしたらいいのか分からず、夜景を眺めていたら、高村さんが私の身体を包みこむように抱き締めてきたーー

「高村さん?」
「やっと、2人きりになれた」
「……」
「震えてるね……」
「……緊張してるみたい」

密着した状態だから、はっきり分かってしまう。
ヒップに触れている固い感触で、高村さんが私を求めているということを。

私を包みこんでいた腕を緩めると、唇を重ね舌を滑りこませてきた。驚いて、身体が反応すると、より深く中を貪るように舌を絡めてきた。

ーー私をゆっくりベットに寝かせると、高村さんは再び私の唇を貪り、首筋を指でなぞる。

大きな手が私の身体を撫で上げるたび、
肌の上を唇や舌が這うたび、
そして、息がかかるたびに私の身体は刺激され、気持ちが昂ぶる。

大企業に身を置いて、高級そうなスーツを纏い、部下から信頼され慕われている彼だってーー

スーツを脱げば“ただの男”

“ただの男と女”になって、求め合っているのに……
身体はわかりやすい程、反応をして声をあげているというのに、頭の片隅で、違うことを考えている。

ーー貴方は、決して私のモノにはならないヒト。

「理恵子……凄くキレイだよ」
「高村さん……」

今だけ。私と会っているときだけでいい。
貴方の心を独り占めしたい。
私だけ……見て……!

高村さんが私の中に身体を沈めた時、涙が流れ落ちた。

「理恵子……凄く可愛かった」
「え?」
頭を撫でながら、ふわりとした優しい表情で私を見つめる。うっすらとしか見ていないけれど、さっきまでの表情とはまるで違っていた。彼は、こんなに優しい表情をするんだとはじめて知る。

「何度キスしても飽きない、魅力的な唇。スラッと伸びた細い脚は太ももから爪先まで舌を這わせてしまったし……」
「た、高村さん。恥ずかしいよ」
「オレが刺激する度に見せてくれた、いやらしくてセクシーな表情……」
「も、もう……ダメ……」

「理恵子は、外見も内面も充分に『メス』を感じさせてくれる、いい女だよ」
「嬉しい……」

高村さんは、私を抱き寄せキスをした。
「深く……もっと深く……」と思う私の気持ちを察しているのか、それとも女慣れしているのか……激しく唇を貪られたーー。

このまま離れられないように2人を密着させる、強力な接着剤があればいいのにーー

「このままーー」
「ん?」
「月曜日の朝まで理恵子と一緒にいたい気分だよ」
「えっ!?」
「どうした?」
「いや、私も同じこと考えちゃって。強力な接着剤で高村さんと密着できたらなーって……」
「アッハッハッハッハッ!」
「やっぱり、子供染みてますよね」
「本当に可愛いね、理恵子は」

「……高村さん」
「どうした? いきなり」
「ギューって、して」
「こう?」
「もっと!」
「これでいい?」
「もっとキツく!」
「理恵子?」
「……好き……です」
「朝までこうしてあげる……」

しっかりと包み込まれ、一粒だけ流れた涙は見られずに済んだ。

幸せ……
だけど、何か切ない……

私たちは一晩中、抱き合っていたーー

著:よしい美玲
———————————————————–
春乃れぃ主催 大人モテLAB
http://harunorei.net/active/