ステイタスのある男が口説きたくなるアラサー女?!

【恋愛遊戯 第6話】
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「口説いて唇を奪うためには、色々と探りを入れないと難しいからね!」
「はっ?」
「ん? どうした?」
「今、何て言いました?」
何か変なことを言い出しそうだという私の直感を裏切ることはなく、高村さんは口説くって? 唇を奪うって? 一体、誰の話をしているの?

「口説いて唇を奪うために探りを入れたいと言ったけど?」

「誰を口説くのですか?」
「北原さんを」
「誰の……唇を奪うのですか?」
「北原さんの唇」
「……誰がそれを?」
「勿論、オレだけど?」
「私、からかわれてますよね?」
「からかってないよ、本当に口説きたいだけ」
何を言っているのか、全く理解ができない。高村さんは、結婚している上にキャバクラに通ってアイちゃんを指名しているくせに……私を口説くのは何故なの?

「高村さん! どう考えたって、冗談にしか聞こえないですよ。高村さんが私を口説くだなんて、あり得ないもの」
「そっか、冗談に聞こえるんだね。でも、冗談じゃないってことは直ぐにわかるからね」
「あの……」
不安そうな私の声を察したのだろう。高村さんの話は止まらない。誰か、止めてほしい。頭がおかしくなりそうだ。

「嫌だったら、断ればいいんだよ」
「あ……そっか、そうですね」
「断られないように口説くつもりだけどね」
「えっ?」
「小さいことは気にしないで……さ、飲んで」
「え? あ? ハイ」
余程、自信があるのだろう。
女性にフラれたことなんて一度もないんじゃないのかと思えるくらい、高村さんは余裕だった。

2時間ほど飲んでいただろうか、店を出て2人で駅に向かって歩いていた。程よく酔いがまわり気分も良く、少し慣れたせいなのか、高村さんの冗談も笑って受け流すことが出来た。

「今日はありがとう」
「……ハイ」
「もしかして、まだ気にしてる?」
「気にしてるっていうより、高村さんの考えていることがわからないんです」
「オレは、いつも正直なだけ」
「正直って……でも、高村さんは結婚してるでしょう?」
「Yes!」
「さくらちゃんのお客様でしょう?」
「Yes!」
「それなのに……」
「それなのに、口説くのかって言いたいの?」
「ハイ、やっぱり変です。そんなの」
奥様がいて、お気に入りのキャバ嬢がいる。それなのに、わざわざアラサーの女を口説きたいなんて、冗談としか思えない。それとも、高村さんは、イタリア人気取りで“女は口説かなくてはいけない”と脳内でインプットされているとか?

「ハッハッハッハッ……!!」
「?!」
「さくらから聞いてない?」
「えっ? 何をですか?」
「オレが女好きだって!」
「あっ……! 聞いてます……」
「結婚もしてるし、キャバクラにも行くんだけどね、でも」

「理恵子を口説きたいんだよ」
耳元で囁くという行為は、女の気持ちを高揚させてしまうものなのか? 酔っているから、余計に体が熱くなっていることが自分でもわかった。

「やっぱり変!」
「やっぱり変かー?」
「あっ! 高村さんは酔ってるんですよね? だから、そんなことを言ってるんだ。そうそう、高村さんは酔ってる」
「そうか、オレは酔っているのか、じゃあ酒を飲んでいないときに言うよ。また明日ね! 気をつけて帰ってね」
昂ぶった気持ちをクールダウンさせるかのように“酔っているせい”だとしたかったのに、シラフのときに口説くつもりなの?

高村さんはやっぱり変な人!!

著:よしい美玲
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