女好き男の意外な一面、 仕事中の彼はカッコイイ?!

【恋愛遊戯 第3話】
IMG_9743-GP

約束の土曜日ーー
私は、指定された10時前に高村さんの会社のビルを見上げると、思わずため息が漏れる。

「うわ……高いビルだなぁ」
私なんかが入っても大丈夫だろうか? 入り口で「ちょっと、すみません」なんて止められないだろうか?

キャバクラのことは、よくわからないけれど、アイちゃんが「1番の客」だと言うくらいだ。そういう人は、みんな高村さんのような会社で勤務していたり、会社を経営していたりするんだろうな……

「北原さん」
背後から聞こえる声に振り向くと、高村さんが立っていて、驚いてしまう。
「はっ?! 高村さん! おはようございます! 今日はよろしくお願いします」
「クックックッ……!」
「?!」
「取って食おうってわけじゃないから、そんなに怯えないで」
「す、すみません。緊張してるだけです、決して怯えてなんか……」

「北原さん、そういうとこが可愛いね、じゃあ会議室に案内するから」
「えっ? あっ、ハイ」

人並に、男性とお付き合いしてきたけれど、男性と2人になるのが苦手だった。
どうやら、顔がこわばってしまい、警戒しているように見えてしまうらしい。

……でも、そういう部分を「可愛い」なんて言われたことは初めてだな……。言われることは大抵「何もするわけがない」とか、ただただ笑われるだけといったところ。
褒め言葉を何気なく言えてしまうのだから、高村さんはやっぱり「女好き」なんだろうな。

「エレベーターで7階に上がるからね」
「ハイ」
「隅っこで固まっちゃって、可愛いね」
「いやっ、そんなことは……。すみません」
「ハッハッハッ、大丈夫だよ」

そう言うと、高村さんは私に近づき、耳元で囁いた。
「思わず、キスしたくなっちゃうよ」
「…………!!」

「ゴメン、ゴメン、キスなんかしたら、仕事を引き受けてもらえないだろう? だから、我慢するよ」
「あはは……ちょっとビックリしました」

ちょっとどころじゃない。
本当にビックリした!
本当にキスされてしまうかと思った。高村さんて、誰にでも平気でこんなことを言う人なのだろうか……

でも、

本気で言ってないのは分かっていても、どうしてもドキドキしてしまう。心臓の音が高村さんに聞こえたりしませんように。

「はい、会議室にどうぞ」
「失礼します」

高村さんに案内され、会議室に入ると、直ぐに仕事の話に切り替わった。イベントの内容と私の仕事内容を、丁寧にわかりやすく説明してくれても、きちんと頭に入らない。私だけがエレベーターで言われたことにドキドキしていて、高村さんは何事もなかったかのように振る舞うのは、不公平だ。
高村さんも少しくらい、意識してくれてもいいのに。
でも、仕事の話をする高村さんの表情は、とても素敵で許されるなら、しばらく眺めていたいくらいだ。

「それじゃ、よろしくね。北原さん」
「ハ、ハイ! 迷惑をかけないようにがんばります! よろしくお願いします!」
「……そんなに、固くならなくて大丈夫だから。自信をもって!」
「あっ! ハイ! すみません」

高村さんの手が私の肩に触れる。たったそれだけのことでビクビクしてしまうと、きっと勘違いをしてしまうだろう……私が高村さんを警戒してるって。

でも、やっぱり、男性と2人きりなんて緊張する。

つづく

著:よしい美玲
———————————————————–
春乃れぃ主催 大人モテLAB
http://harunorei.net/active/