どこにでもいるアラサー独身女、出会いは思いがけないところから……

【恋愛遊戯 第1話】

LOVE-AFFAIR
不倫:
道徳にはずれること。特に、男女関係で、人の道に背くこと。また、そのさま。

小さい頃は泣き虫だったし、

大人しい子だって言われてきた。

中高生のときに、制服のスカートを少し短くするくらいの校則違反はしたけれど……

自分はごくごく普通の女だと思っていた。

「彼」に出会うまではーー

私の名前は、北原理恵子。

31歳でごくごく普通のOL。

周りは「そろそろ結婚は?」「子供は若いうちに産んだほうがいい」と言ってくるけれど……

もう少し自由でいたいと思っていたら、三十路を過ぎていた。

「センパイ! センパイ!」

愛くるしい声に振り向くと、後輩の中岡アイちゃんが立っている。パソコンの電源を落として

早く帰ろうと思っているときに見るアイちゃんの笑顔は、何故か嫌な予感がしてしまう。

「どうしたの? アイちゃん?」

「理恵子センパイ、一生に一度のお願いっ!」

「断る!」

やっぱり……一生に一度じゃないお願いだ。彼女が笑顔で話しかけるときは、いつだって頼みごとなんだ。

「まだ、何にも言ってないじゃないですかぁー」

「一生に一度のお願いするの、アイちゃん何回目?」

「そんなこと言わないでくださいよぉー。アイね? すっごく困ってるんです」

それほど困ってないだろうとわかっていても、人懐っこい感じで甘えるアイちゃんのお願いは、不思議と毎回、断ることが出来ず、早く帰ることは諦めることにしようか……

両手に持っている缶コーヒーをアイちゃんにひとつ渡して、ミーティングルームに入る。

「アイの1番大事なお客様の会社でね、今度イベントをすることになったんです、そこで受付が必要らしくて、いい人はいないかって頼まれたんです……」

1番大事なお客様はきっと、アイちゃんを指名する太客に違いない。昼間は仕事をこなして、週3回は会社に内緒でキャバ嬢。疲れを微塵も見せないのは、若いからこそなせる業だろうか?

“小悪魔”という言葉がしっくりくる可愛いらしいルックスと、甘えたような上目遣いで、男性の心を掴んで離さないのだろう。

「そんなの、アイちゃんがやればいいじゃん? アイちゃん可愛いんだし、どうしてやらないの?」

「アイじゃ若すぎてダメだって……ある程度年齢がいっちゃったおばさ……ハッ?!」

「アイちゃん、もう聞きたくないかも……ワタシ、タチナオレマセン」

「あっ! ごめんなさい! そうじゃなくて、大人のイイ女がいいって、頼まれたんです。理恵子センパイは大丈夫ですからっ!」

何が大丈夫よ! おばさんって言いかけたのは、しっかり聞いてたんだから! そりゃ、30を過ぎたらおばさんには違いないのだけど……。

「お願いです、アイがキャバしてることを知ってるのは社内でセンパイだけだし、アラサーの中でダントツ美人なのはセンパイだから、他には頼める人がいないの! お願い、助けて……」

「……わかった」

「ホント?! センパイ大好きっ!」

「そのかわり」

「ハイ?」

「今度の会議、アシスタントをお願いね?」

「はぁーい」

あぁ、またアイちゃんの一生に一回ではない頼みをきいてしまった……

結局、アイちゃんの太客と会うことになってしまった。キャバクラに通う人って、どんな人なんだろう? やはり気安くボディタッチしたりするのだろうか?

私はキャバ嬢じゃないし、そのあたりは会う前にきちんと線引きしておかなくてはいけないな……。

きっと、いやらしい顔をしたおじさんが来るのだろう……キャバクラに通う人って、そんな人ばかりに違いないんだから。

著:よしい美玲
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