うんちくジジぃエロかったよ!最悪!っていう時の対処法

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【佐伯紅緒のスーパーカミオカンデ】第152回

先日、とある海外モノの戯曲を観に行ったら、登場人物のひとりにやたら知識をひけらかす教授が出てきて、その彼が生徒たちにこんな陰口を叩かれていた。

「おじさんの豆知識はクリスマスツリーの飾りと一緒」

その戯曲は英国のパブリックスクールを舞台にしたお話で、この教授は授業では生徒たちにうんちくを垂れる一方、放課後には気に入った男生徒のタマを触るという「課外授業」を行っていた。

で、佐伯はこの登場人物全員がフランス語を喋らされてる難解な戯曲を観ながら、現代ニホンの夜の酒場にもこういう「うんちくエロおじさん」はいるよな、と思った。

 

時は今をさかのぼること20年近く。

佐伯がまだデビューする前、その頃、原稿のやりとりをしていた編集者に連れて行かれた「文壇バー」なる場所では、うんちくエロおじさんが「アクセサリー」(若いきれいな女の子)に講釈をたれつつ、テーブルの下でおさわりをしている光景をずいぶん見た。

うんちくエロおじさんの特徴は、まず見た目と頭の良い妙齢の女子が大好き、そしてガチで愛人にしてしまう「本格派」から、連れ歩くだけで満足する「鑑賞派」までいろいろいる。

そして、自分の連れてる「アクセサリー」にはデレデレだけど、他人の「アクセサリー」はフル無視、あるいは、あからさまに見下した態度をとるのがうんちくエロおじさんの特徴だった。

そして、「アクセサリー」女子のほうもまた、銀座の女性や愛人上等!の気概をもつ成り上がり志向の「決め打ち派」から、よくわからないけど気がついたら連れてこられてました的な「ウッカリ派」までいろいろいた。

で、見ていて思ったのは、「本格派」のうんちくエロおじさんと「決め打ち派」のアクセサリー女子のカップリングは、需要と供給が見事に一致しているから全然問題ないんだけど、もし女のほうが「ウッカリ派」だった場合、なにも知らずにこんばんわあ、なんて出かけていくとヒドイ目に遭う、ということだった。

ヒドイ目とは具体的に言うと、

・透明人間扱い

・無知呼ばわり

・セクハラ

・枕のお誘い

・・・などである。

「透明人間扱い」とは「その場にいないもの」として存在自体を無視されること。これはキツイ。そこに漂っているのは「頭カラッポのアクセサリーは黙ってろ」という空気です。

「無知呼ばわり」はおじさん世代でなければ到底知りえないような知識を突然持ち出され、知りませんなどと言おうものなら「へえ君、無教養だねえ」とか言われること。

(ちゃんとした紳士のおじさんはそのへんが違っていて、酒場で若い女性に出くわそうものなら逆に「取材体制」に入ります。なぜなら、その方がトクだから。会社と酒場と家の往復しかせず、決まった相手としか喋らないと人は必ず先細る、ということをそういう人は知っているので)

「セクハラ」はズバリ、「きみ、どうせ××の愛人だろ?」とか言われること。

自分の常識を当然のように他人に当てはめないでください、と言いたいところだけど、本人、至って悪気はなく、ただ単にその女性が自分のアクセサリーにできるかどうかを確認してるだけ。

「枕のお誘い」は人脈や仕事をエサにホテルに誘われること。

いるんですわ本当に。大きな会社に勤めてる人とか、急に大金を手にした人とかね。

そして、さあここからが本題です。いまあなたがまだなんの力も持っていない独身女子で、たまたま酒場や職場でこの手のうんちくエロおじさんに会ってしまったらどうするか。

佐伯の答えは「利用する度胸があれば大いに利用し、できなければ敬して遠ざけよ」です。

なぜなら、なんだかんだいってそのテのうんちくエロおじさんは女の扱いに長けている。

だから、もしアナタがまだ20代なら経験値を積むにはアリだけど、もし30過ぎだったらそのテのおじさんに関わると確実に婚期を逃す。

だからアナタが、「コイツを踏み台にして上のステージに行き、確固たる地位と上質の男をつかまえよう」などという大胆な野心を持っているのならともかく、もしそうでないなら適当に話を合わし、決して距離を詰めないのが得策。

気に入られようなんてもってのほか。かえって面倒なことになります。

そして相手がうんちくエロおじさんかどうかを見極める大事なポイントは、あなたがその相手から「人として見られているかどうか」の一点に尽きる。

そう、職場だろうが酒場だろうが、アナタが「人として」いろんな人間の中で揉まれているなら問題ない。それどころか、大いに結構。というのは、

「シロウト10年、ミズ3年」

という言葉があるように、酒場ってのは人の本性がむきだしになる場所だから勉強になる。

でも、もしアナタを連れ歩くその男が自分の話しかしなかったり、自分だけさりげなく会話から外されているような気がするなら・・・かなりの確率でその人はうんちくエロおじさんであり、あなたは「アクセサリー」扱いされてると思ったほうがいい。

もしそれでも構わないというのならいいけど、もしそういうのが嫌だったら、できるだけすみやかにその場から立ち去ることをお勧めする。

なぜなら、そういう場に長く身を置いていると、だんだん自分がみじめになるから。

そのてん、銀座のナンバーワン女性のすごいところは、常日頃から男にそういう扱いを受けていても自分の誇りを保てること。でも、大半の女性はそうじゃない。うわーコイツやな感じ、と思ったら「敬して遠ざける」に限ります。

ただ、うんちくエロおじさんが人として極悪かというとそうでもない。

決して肩を持つわけじゃないんだけど、かれらの大半は昔モテなかったという黒歴史を持つ人たち。いわゆるスクールカーストの最下層、ないしはそれに準ずる身分だった人たちです。

だから、大人になって金や地位などで後天的に「モテ」を手にし、ほとんど強迫神経症的に「アクササリー」を連れ歩きたがるのも、酒場で女の子を相手にやたら知識を披露したがるのも、その動機はエロばかりでなく、

「かつて自分に見向きもしてくれなかったキレイなオネエチャンたち、および自分をバカにしたリア充男どもに対する復讐」

だったりします。

なので、かれらは同じ女性でも、そういう自分のコンプレックスを刺激しない、いわゆる「地道に働いてる女性」には間違ってもこれをやらない。

これはある高名な女流作家さんから聞いた話なんだけど、最近めっきりモテなくなった、男性から誘われなくなった、やっぱり年だからかなあ・・・と担当編集者に嘆いたところ、

「違います、それはあなたが作家として認められたからですよ」

とコンマ1秒で即答されたという。

悲しいかな、これもまた冷徹な現実のひとつ。

だから、もしアナタが酒場でこのテのうんちくエロおじさんに遭遇したら、「決め打ち」して踏み台にするか、ひたすら逃げてマイペースに生きるか、そのどちらかなんだけど、もしスタミナに自信があるなら、利用してのし上がるのも悪くない。

というか、はた目から見ている分にはそっちのほうが面白いんで。

だからもし「やったるでー!」という気概のある勇者がいらしたら、そのときは是非ご一報ください。そういう話、佐伯は三度の飯よりも好きなのです。