あのね、よく初デートで「連れて行かれた店がダサくて云々」って悪口言ってる女の子、いますよね?
佐伯も昔はそっち派だったんだけど、今はすっかり考えが変わってしまいました。
今はむしろ、やけにいいお店ばっかり知ってる男性ほど逆に警戒するようになってる。
反対に、あーこのひと、今まで仕事ばっかりでお店探しとかやったことないんだろうなあ、て感じのお店に連れてかれると「へへっ」とちょっと安心し、出てくる料理がイマイチであっても「まーいいんじゃないすか」と思う。
われながら変わったな、と呆れるけど、これは年をとったせいでいろいろ見えてきたせいだと思う。
もちろん、今でも男性に美味しいお店に連れていかれればうれしいし、それが彼にとって「自分のとっておきのウマイ店」だったりすると最高だけど、もしそうでないとしても別に気分を害することはない。少なくともそんなことでもう会わない、とかはないです。
でも昔は男性のそういう「手抜き(当時はそう思っていた)」がいちいち許せなくて、ちょっとでも手を抜かれてる、と感じると途端に不機嫌になっていた。
デートで連れて行かれるのが庶民的なお店ばかりだったり、
会うのはいつも彼の部屋ばかりだったり、
いくら言ってもTDLに連れて行ってくれなかったり、
こういうことに目クジラを立て、「ああ安く見られてる、大事にされてないッ!」といちいち傷ついていた。
だけどねえ、違ってたのよ、違ってたの、私、若かった。
男は結局、なんだかんだいって牛丼屋に一緒に行けるような女と結婚するのだ。
昨今、イケメン俳優たちが次々と一般人女性と結婚してゆくのを見ても思う。その嫁選びから伝わってくるのは「24時間カッコつけてられっか」という彼らの悲痛な叫びである。
前に、イケメンの代名詞みたいな俳優に嫁いだ女性と話をしたことがあるんだけど、その彼、オフの日は家でぺヤングとか食べながらボーッと宙を見つめているという。
その俳優に関しては「タキシード着てシャンパングラス傾けてるようなイメージ」しかなかったので、あーそうかそうか、そういう男の「目」を見つけてカツンとできるこういう女が結局選ばれるんだな、と妙に納得した。
そう、「目」というのはどんな固い石にもそこにノミを当てると真っぷたつに割れる一点のことで、どんな完璧に見える(見せている)男も、よく探せば必ずこのテの「目」をひとつは持っている。
そして多くの場合、その「目」とは彼の「トホホ」な部分、いってみれば「コンプレックス」である。
学歴、出生、親子の確執、その種類はいろいろだけど、佐伯が見るに、普段華やかな日常生活を送っていそうな男ほど、ひと皮めくればこの手の「目」を持ってて、そこをカツンとやられるとアッサリと陥落する。
それはなぜかというと、普段気ィはってる男ほど、世の中のほとんどのものがしょせんは「虚」だと知っているので、それとは真逆の「確かなもの」を自分の芯に据えたがる。
だったら話は簡単で、あなた自身が彼のその「確かなもの」になればいいのだ。
こんなことを言ってはなんだけど、外に見せてる姿と実像にギャップがある男ほど「目」を攻めると落としやすい、ってのはそういうこと。
デビルマンの歌じゃないけど、「誰も知らない、知られちゃいけないー」なんて必死に隠してきた汚点を、いとも簡単に「アーそうなんだ、大変だね」なんて言ってくれる女、手放せます?
だからたぶん、あなたがいま付き合ってるその彼に選ばれる女になるか否かは、彼がうっかりこの「目」をあなたの前にさらけだしてしまった時、あなたが彼の「確かな女」になれるかどうかにかかっているんだと思う。
よって、普段はどんなにいい加減でもいい、この時ばかりは、あなたは彼に対し「百点満点」の対応をとる必要がある。
それにはマニュアルなんかなく、本当にケースバイケースなんだけど、ひとつだけ、これマストだよなって思うのは「決して馬鹿にしないこと」である。
「優しく上から目線」もいけない。なぜなら、男はプライドの生き物だから。一番いいのはおそらく「大変だったね」とキチンと共感することだと思う。
本人にとっては重要なことなので軽く受け流してしまうのは×、でも大仰に取り合うのも×、あーめんどくせー、でも大事なこと、ほんっとうに大切なこと。
これが上級者編になると「そうかそうか、ヨシヨシ」っていう仙女さまみたいなこともできるんだけど、そういうのは付け焼刃で一朝一夕にできることではないので、まあ初心者は千里の道も一歩から、とりあえずは彼の弱点を見たら「まあいいじゃん、仲良くやってゆこうよ☆」あたりがお勧めです。