幸せな恋愛を遠ざける『サンクコスト』の撃退法

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【佐伯紅緒のスーパーカミオカンデ】第130回

経済用語で、既に支払ってしまっていてもう戻ってこない時間・お金・労力のことを「サンクコスト」(埋没費用)といいます。

つまり、「もったいない」精神。

たとえば、期待して観に行ったら5分でつまらないとわかった映画、でもお金がもったいないから我慢して最後まで観る。

たとえば、メンツをひと目見て「ハズレだわ」と思ったしょうもない合コン、でも会費がもったいないから我慢して最後まで参加する。

 

はい、もうなにが言いたいかおわかりですね。

今週は「もったいない」という思いにひきずられ、ダメな恋愛を長引かせないためのコツについてお話ししたいと思います。

「もう少し頑張れば、いつかあの人だって私のほうを振り向いてくれるかも知れない」

「もう少し我慢して付き合えば、あの人はもしかして奥さんと別れてくれるかも知れない」

「こんなに長い年月養ってきたんだもの、もうちょっとしたらあの人だって仕事についてくれるかも知れない

これすべて「サンクコスト」がハバをきかせた現場でよく聞かれる言葉。

いずれもそれまでにかけた投資が莫大すぎるため、捨てるに捨てられない状況です。

人は、自分がお金や時間や労力を費やした相手に対してほど執着する傾向があります。

金のかかるワガママ女、手のかかるメンヘラ女、こういう、一見問題アリの女性たちって、不思議なことに常に男がいませんか? 

そう、このテの女は意識的にか無意識的にか、相手に投資させてしまうからです。

逆に、尽くし過ぎる女というのは文字通り「コストがかからない」相手なので、付き合う男にそれほど執着されず、よってあんまり大事にされない。

だから自分が「都合のいい女」にされてるなあと思ったら、意識してコストのかかる女を目指すよう努力したほうがいい

コストをかけろ、とはいっても、何もブランドバッグをねだれという意味じゃない。

ほんとに簡単なことなんです、たとえば、一緒にコンビニに行ったとき、レジに並んでる男のカゴに突然「はい、これもお願いね♡」とアメやらガムやらを投げ込むとか、ビンのフタが開かなかったら速攻で彼のとこへ持ってって開けてもらう、とか。

すると男は「お、おう」となりつつも、即座に「彼女にコストをかけてるオレ」モードになってくれる。

そんでもって、逆にあの手この手でささやかな投資を求めてくる男には気をつけたほうがいい。

「ごめん、オレ今、大きい札しかないから代わりにここ出しといてくれる?」

こんなことを日常的にサラっと言う男には要注意です。チリも積もればなんとやら、ちょっとずつ出してるうちに、いつしかあなたの大事な貯金が食いつぶされてる、なんてことになりかねない。

これはお金のことばかりじゃなく、他に、心を食いつぶす(常に服従を要求する)、時間を食いつぶす(束縛が激しい)など、搾取の仕方は実にいろいろ。

そして、そういうのに嫌気がさしたアナタに、ヒモ体質男が必ず口にする「サンクコスト」的ひきとめ文句がコレ。

「そんなこと言うなよ。おれたち、これまでずっと一緒にやってきたじゃないか

はい、出ましたー。この言葉が出たら皆さん、アラ塩なりありがたいお札なりを投げつけて全力で逃げてくださいね。

女から搾取することが大得意な「ひとりブラック企業男」は、女のこの「もったいない精神」をしんから熟知しています。

だからこそ、そこにつけ込む。

よく、先の見通しのない、実りのない恋愛を何年もズルズル引きずってる女性を見かけますが、これは彼女ばかりのせいじゃなく、相手の男に「サンクコスト」を使ってコントロールされてる可能性が高い。

こういう、ヒルのような男から身を守る方法はただひとつ、

「ゴルディオスの結び目を断ち切る」です。

その昔、アレキサンダー大王が「この結び目を解いた者こそ真の勇者なり」という看板の立つ「ゴルディオスの結び目」を見て、「そんじゃあ♪」とちゅうちょなく剣でぶった斬ってしまったように、相手がなにを言おうが関係自体を問答無用で断ち切ってしまう。

心理学者の故・河合隼雄先生のお言葉に「逃げるときは物惜しみしない」というのがあって、佐伯はすごく好きなんだけど、これは「逃げる」といったん決めたらすべてをおいてひたすら逃げろ、という意味。

そしてそれは、抜き差しならない恋愛を断ち切るときにもすごく役立つ。

人生でも恋愛でも、とにかく「なりふり構わず全力で逃げる」のが最上策、という時がたまにあるのだ。形勢不利とわかったら、対面もヘッタクレもなく全速力で逃げのび、体力を回復させて次の戦いに備える

しかし、ここで華々しく一戦交えて、なんてことを考えちゃうと、さらなる大損失を招いて立ち直れなくなってしまう。そんなのは勇気でもなんでもない。ただの玉砕に過ぎません。

もちろん、なんでもかんでも逃げればいい、だなんて決して言ってない。けれど、逃げるなら逃げる、とどまるならとどまる、でキッチリ心を決めたほうがいいってこと。

これまでにかけた投資は決してムダにはなっていない。だけど、これから先の人生くらい、アナタが笑っていられる方向に使ったほうがいいじゃないか。

最後は兵法のようになってしまいましたが、要するに、大事なのは中途半端なことをやめ、誰がなんといおうと断固として自分軸で生きるってことです。では、御免!