どう考えてもやっぱり男女の仲はタイミングが大事な理由

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毎週毎週、他人様のことばかりをドウコウいうのもなんなので、今週は佐伯自身の告白にまつわる黒歴史についてひとつお話ししたいと思います(もう時効だろうと信じて……)。

 

高校時代、国語は得意だったけれども数学が大の苦手だった佐伯は、きっとそのせいでしょう、当時、学年で数学が常にトップだった男の子に片想いしておりました。

彼・K君は典型的な理系タイプのインテリで、長身・細身・色白・冷静、と佐伯の好きなアイテムがすべて揃った男の子でした。

もっとも、顔は関根勤そっくりで、遠目にはムーミンのニョロニョロにしか見えなかったのですが、惚れてしまえばアバタもエクボ、彼恋しさに私は当時、関根勤が出る番組をすべてチェックしていたくらい。本当に恋というのは、つくづく人に言えない恥ずかしい性病なのだと思います。

(断っておきますが、関根勤さんは男前。ただし『関根勤に似た男子高校生』についてはその限りではありません)

話しをもとに戻しますと、K君は理系クラスの人で、そのクラスには男子しかおらず、だから、ほっといたらド文系の私との接点は一切ない。

そして私は高校を卒業したら東京の大学へ行こうと決めていた身、彼と同じ空間で過ごせるのも高校を卒業するまでというシバリの中、私は、K君との接点を少しでも増やすためにいろんなことをやりました。

通学時には彼と遭遇するために家を出る時間を調べあげたり、

タイミングを合わせて同じバスにさりげなく乗り込んだり、

放課後にはたとえ真冬であろうと、屋上で震えながらサッカーボールを蹴る彼の姿を下校時間まで見ていたり、

今だったら警察に通報されても文句の言えないレベルです。

そしてとうとう、運命の女神が私に微笑む日がやってきました。

その日は全校をあげての模試があり、会場は近くの私大。同じ教室に彼の姿を見つけた時、私は「今だ」と思いました。

試験が終わってすぐK君のところに行き、「話があるんだけど」と切り出しました。

男女交際などしたことなかった当時、こんな愚行は蛮勇以外の何モノでもありませんが、どうせもうじき東京へ行くんだから、というリミッターが私の背中を押したんだと思います。

K君もまた男女交際にまつわる経験が一度もなかったようで「いい店があるから」と連れて行かれたのはなんと「餃子の王将」

餃子を食いながらの初デートという、なんともしまらない状況の中、佐伯は彼に、実は前前々からK君が気になっていたということ、自分は数学が苦手なので国語代わりに教えるから勉強会やりませんか、などとたくみに誘導し、どうにか「では一度、一緒に映画でも観に行きましょうか」という約束を取り付けるのに成功し、心ひそかにガッツポーズをとったのでした。

そしてめでたく一緒に映画「ゴーストバスターズ」を観に行った帰り道、佐伯は夜の住宅街の街灯の下でK君にふられました。

その理由は「今は学業に専念したいから」というもの。

最後に握手しよう、と暗がりの中で出された手を握ってから三日間ほど泣きあかし、通常モードに戻るまで一週間はかかりました。

それから10日ほど過ぎて、いよいよ東京の大学へ入る手続きをするためにひとり上京した日のことです。

K君が、新大阪のホームを走って追いかけてきました。

聞けば、私に会いに家に行ったら入れ違いになったそうで、東京へ向かう私のことを追いかけてきたとのこと。入場券しか持っていないK君は私と一緒に新幹線に乗り込み、向かい側の席に座って「やっぱり君と付き合いたい」と言いました。

私は、ドン引きです。

だって想像してみてください、想いを断ち切るのに泣いて泣いて、涙も枯れた頃に立ち直って、ようしこれからは新しい街でいっぱい面白いことをするぞう、と頭の中はすでに東京での生活のことでいっぱい。

そんな私にとって、かつての想い人・K君はもはや関根勤似のニョロニョロ以外の何者でもありませんでした。

「悪いけど帰って」と冷たく言い放った私の前に、K君はしばらくの間、信じられないという顔をしてましたが、やがて何を思ったのか、目の前の席で膝を抱えてシクシクと泣き始めました。

狭い空間に向かい合わせという新幹線の座席構造をかつてこれほど呪ったことはなく、ただただもうこの鬼キモな空間から一刻もはやく逃れたいがために、いつしか私は自動的に口走ってしまっていました。

「お……お友達でいましょう」

すると彼は、すすり泣きながら両膝に埋めていた頭をゆっくりあげ、涙でぬれた顔を私に向けてニッと笑いながら言いました。

「面白くなってきたぞう」

その後、私が彼と会うことは二度と再びありませんでしたが、それから数年くらいの間、毎年、私の誕生日になると実家の前にバラの花束が置かれていた、ということだけは最後に言い添えておきます。

結論。告白のタイミングは慎重に。ときめきからドン引きへの半減期は短い。

K君、元気でやってますか。落ち込んだりもしたけれど、とりあえず私はげんきです。